なぜ、絵を描くのか?

結婚パーティーをDIY -プラン、準備編-

結婚パーティーをDIY -プラン、準備編-

昨日11月22日は「いい夫婦の日」だそうで。

以前に、結婚写真撮影について綴った際に、式ではなくパーティーをしたことに触れたけれど、今回は、そのときのおはなしを。

結婚式をするか、しまいか

10代のまだこどもみたいな頃に知り合ってから十数年後。

友情が、年月を経て突然愛情に変わることもあるのだと身をもって知り、お付き合いを始めたちょうど2年後に、入籍した。

両家の親に挨拶、顔合わせ。一応最低限のステップを踏み、残るは結婚式。

結婚祝いに両親がお祝いランチに招待してくれた。

もともと私たちはどちらも、結婚式というイベントについて「行くのは好きだけれど、自分たち自身のはあまりしたくない」という気持ちの持ち主だった。

理由は、以前にも書いた「”主役” のマインドを持たない」という点は二人とも共通で、その他にそれぞれで思うところがあり、

私の場合は、豪華に着飾るのが苦手なこと、信仰がないこと、などなど。

信仰がないと言っても、初詣や、日常的にお寺や神社にお参りするのは好きだし、厄祓いに行ったり、お守りを大事にしたり。
日本に生まれ育って、自然と仏教の習慣などが身についていると思うし、どちらかというと好き。

けれど「結婚」という大きなポイントで、今までの感謝や未来の幸せについて話がしたい相手は、私にとっては、いつも心の中にいる、親や兄弟や友人。ご先祖様には、お墓参りでご報告。
神様に誓うということに、微妙な違和感があった。

我ながら面倒くさいことを考えていると思いつつも、結婚という機会を借りるならば、特別に大切な人たちへ何らかの形で、普段言えない感謝を伝えたい、というのが私の気持ちで、彼も賛成してくれた。

DIYパーティー

神様なしとなると、ポジティブに考えれば、すべてをいちから自分たちの好きなようにできそう。

最初に決まっていたのは、家族と友人数人を招いて、自分たちらしいささやかな、感謝と祝いの場を作ろうということだけ。

人前式というほど形式的なものではなく「感謝の気持ちを伝えるついでに、普段関わらない親と友人や友人同士が、わいわいする場が作れたらおもしろそう」ということで、会食パーティー形式に。

では場所は? これが、一番悩んだ。

会場探し

どんなに素敵でも自分たちに縁もゆかりもない場所よりも、浅草近辺や、お互いが縁深いような、ホーム感を感じられる場所がいい。

浅草から隅田川を渡る船の上で、ゆかりのある自然の中で、レンタルスペースを借りて知り合いに料理をお願いして、、などなど、妄想が膨らむ。

「すべてが自由」という状況こそ、選択肢がありすぎてじつは一番、決めるのがたいへん。

散々悩んだ末に、隅田川の見える、あるキッチン付きのレンタルスペースを下見に行ってみた。

なかなか良かったのだけれど、室内の天井が低く、当時の浅草のアパートは古いけれどドイツにも負けないくらいに高い天井だったため窮屈に感じてしまい、断念。

また一から会場探しをしなければ、、と不安な帰り道。

ふと、何度か前を通って気になっていたレストランが頭に浮かび、そこでランチをして帰ろう、ということに。

カジュアルなフレンチのお店で、建物が素敵な印象だったので、あわよくばパーティー会場にならないかと、密かにだめもとの祈りを持って向かう。

外装は洋館風なのだけれど、中に入ると思っていたよりあたたかみのある雰囲気で、たくさんの装飾も可愛く私好み。
まるでフランス人の友人の、実家に遊びに来たような雰囲気。

でも一面の大きな窓からは、隅田川やスカイツリーが見え浅草感いっぱい。広さもちょうどよさそう。

伺うと、幸運なことに、最上階で貸切のパーティーが可能とのこと。

何よりいただいた食事が美味しく、スタッフの方も親切で、

難航気味で、つい先ほど振り出しに戻ったかと思われた会場探しが、唐突に解決した。

DIYしたもの

会場が決まり、あとは細かいことを相談しては決め、準備を進めるばかり。

この頃も引っ越しを決める時同様、仕事の如くしょっちゅう家族会議を繰り返した。

私たちDIY夫婦の主催となると、必然的に、すべてが手作りになる。

ロゴ、メインビジュアル、招待状

まずは、招待状。

じつは私たちは、デザイナーと絵描きのふたりなので、それぞれにデジタルとアナログで、パーティーのメインビジュアルを作った。

招待状は、それらを基にデザイン。

音楽ライブやアートの展示会のようにしたかったので、パーティーのタイトルをふたりで考え、彼がロゴに展開。

もはややっていることは、仕事と同じ。

グラス、シルクスクリーン

そのほか、彼は、来てくれたみんなにお渡しするプレゼントをデザイン。

ロゴのグラスに、お得意のシルクスクリーンで、メインビジュアルをプリントした木綿ハンカチ。

絵、ドレス

私は、会場のレストランに初めて伺ったときに、いい感じの白い壁面を見つけており、

そこへ絵を飾るイメージを、ぼんやりとしていた。

何を描くか悩んだ末に、来てくれる人はみんな知っているので、それぞれのために、小さな絵を描くことに。

誕生日や、夫婦の場合は結婚記念日も含め、その日や季節にちなんだ花の絵を。

誕生花ってたくさんあるので、花言葉が相手にぴったりと思う花を選んだ。

テーマが決まったら、あとは展示プランを考えて、キャンバスを注文。

これが個展ではなく、結婚パーティーの準備だと、誰が思うだろう…。

それから、ドレス。

洋服を作っている友人へお願いして、デザインや、パターン作りなど全面的に手伝ってもらいながら、自宅でせっせと作った。
試作のドレスをふたつかみっつに、最後に、本番のコットン生地で。

入籍が春先、パーティーを秋に予定していたので、

夏の間は仕事をしながらひたすら絵を描き、大きな布を、切ったり縫ったり。

生地は、一度洗いにかけて風合いを出した。
作画途中の作業台

当日のことなども、今後、記憶を辿りながら、備忘録的に綴ってみようと思います。

今年のいい夫婦の日

今年は珍しく、彼から「いい夫婦の日」という言葉が出た。

この時期になると、毎年楽しみにしていた、浅草鷲神社の酉の市を思い出す。

いい夫婦の日前日の日曜に、ちょうど、新しい棲家に近い場所で酉の市が行われていたので、行ってみた。

浅草鷲神社とは違いこぢんまりとしているけれど、程よく盛り上がり、あったかくて、いい雰囲気。

引っ越して来た挨拶と、「これかれも、いい仕事ができますように」と願う。

浅草時代の他の恒例行事のひとつに、

「お給料日のあとに、大好きなお寿司屋さんでお寿司をいただく」というのもあった。

ある日、お寿司が食べたくなり、たまたま選んだお店が大好きに。
そのまま月一の常連になり、結婚前から引っ越すまでの数年間、お店の方々にも本当によくしていただき、とてもいい浅草時代の思い出。

「いい夫婦の日のお祝いに」と、彼が近所でお寿司屋さんを探してくれ、酉の市の帰りにテイクアウト。

初めて伺ったのに、お店の大将と話が盛り上がり「絶対また、今度は飲みに来よう」と話しながら帰宅。

大好きな日本酒と一緒にいただき、幸せ。

彼と、いい夫婦の日に、感謝。

つづく