なぜ、絵を描くのか?

在るフレンチレストラン

在るフレンチレストラン

クリスマスの記事で触れた、あるレストランについて。

蔦の絡まるお店

そのお店は、車でよく通る道沿いにある。

建物に蔦がいっぱい絡んで、車で通過するぐらいでは灯りがついているようにも見えず、

周辺に廃業店舗がいくつも点在することもあり、はじめの頃は失礼ながら営業していないのだと思い込み「こんなに味のある建物とロケーションなのに、勿体無い!」なんて話していた。

ある時夜にここを通った際、ほのかに灯りがともっているのを見つけ、その頃からずっと、いつか伺ってみようと話していた。

お店の名前からどうやらフレンチのようだけれど、インターネット上にも情報が少なく、でもとても美味しそう。

お肉料理がメインのようなのでいつか特別な日にということで、クリスマスに伺うことに。

事前に電話をかけ「25日のランチは予約できますか」と聞くと、「それなら大丈夫。ひとりでやっており、毎年クリスマスの夜は混雑しすぎるから営業しないことにしている」とのこと。

ちょっぴり頑固そうな店主さんの雰囲気に、わくわく感の高まる私。

当日

予約時間に伺うと、私たちが一番乗り。

まるでエントランスを隠すように生い茂る蔦植物に圧倒されつつ、店内へ。

一番乗りの私たちは、お店の一番奥の席へ。

店頭に「要予約」の看板が立てられている外装の感じとは違い、店内は、窓から絶妙な光が入りなんともあったかい雰囲気。 席につきながら「レストレンにも、”ツンデレ”ってあるのだな」とか考える。

自家製ピッツァやパスタのメニューと、黒板に書かれたお肉のメニュー。

せっかくなので、お店のメインであるお肉をコースにしていただくことに。

下は、この日の私たちが、とってもブルー色だったので、食事を待つ間に撮った写真。

彼のニットにターコイズのオーダーリング、私のネイルにレザーとシルクの、古着のグローブ。

お久しぶりのネイル

1年以上前、徳島県のゼロ・ウェイストセンター「WHY」の方のインタビューに、マニキュアの瓶がリサイクル出来ないということが書かれており「確かに…!」と衝撃を受けて以来、なんとなく心が離れてしまっていたネイル。

でも、今持っているネイルたちを放置しても勿体無いし、肌や髪のケアをおろそかにしていたという内容のブログを書いて以降、不思議と美容に意識が向いてきたこともあり、年末に久しぶりに塗ってみたくなった。

自分の手が視界に入るたびに、ほんのり感じる嬉しい気持ち。

「やはりこういうの、大事だな」と思うと同時に「昨年は、修行のような年だったかも」とも。

以前にも書いたけれど、私たち夫婦の手は、形も肌質もよく似ている。

大盛り、本格フレンチ

先に出していただいたパンは、おっきなカットが何枚も入っており、びっくり。

いただいてみて、美味しさにさらにびっくり。 自家製らしい。

レストランの良さは、添えられるパンで決まるのではと思っているほど好きなのだけれど、こんなに美味しくて温かいパンをいただいたら、期待せずにはいられない…。

料理が来る前に、たくさん食べてしまいそうなのを、なんとか堪える。

続いてサラダが運ばれて来て、その後メインが。

コースだけれど堅苦しくない感じでいいなぁと思っていたら、

テーブルに置かれたそれぞれのメインディッシュのボリュームに、度肝を抜かれる。

上は、私のオーダーした煮込みハンバーグ。 下は、彼の赤ワイン煮。

こんな大盛りのフレンチ、初めて…。 そして、お味も絶品…。

このお料理でこのお値段でいいのかと、メニューの黒板とお皿を、つい見比べてしまう。

普段お肉料理をいただくことが少なくなって久しいということもあってか、オーダーしたものは残さない派の私たちの胃袋は、食べ終わる頃には、それはもう、いっぱい。

パンはさすがに食べきれず、美味しかったので持ち帰りたいと思っていたら、店主さんの方から「持ち帰りますか」と。

食後にはコーヒーと、私の好物の洋梨のタルト。

ご主人

お口とお腹が、幸せでいっぱい。

お会計に行くと、ご主人が話しかけてくれ、近くのイルミネーションの時の混雑事情から、お肉のこだわりについて、お店の改装の計画のお話などしてくださり、

私が聞きたかった、本格的なのに堅苦しくないコースや大盛りのわけ、お店の歴史なども、質問すると楽しそうに教えてくださった。

当初営業していないかと思っていた話をしたら、笑っていた。 やはり、通りすがりに立ち寄って欲しい気持ちはあまりなく、敢えてのことだったみたい。

近くに住んでいることを伝えると「普段渡すことないんだけど」と言い、名刺をくださった。

混雑する時期ほど閉店していたり、ウェブサイトも作っていなかったり。

「あまり宣伝したくないんでね」というようなことを仰っていたので、ここでも店名は書かないことにした。

私たちにとっても、人に教えたいような、秘密にしたいような、大好きなお店になった。

お話の内容から、ご主人はやっぱり電話の印象通りの頑固な方なのだとわかったけれど、自身を「へそ曲がりの親父」と言って笑っていたり、お話好きでチャーミングなところを隠しきれない感じが、お店にツンデレの印象を受けた所以なのだな〜と思い、にやにやしてしまう。

今度はご主人の言っていたように、かしこまらずなんでもない日に伺おうと、話しながら帰った、そんなクリスマスランチ。