なぜ、絵を描くのか?

画材を水彩に替えたはなし

画材を水彩に替えたはなし

今日は、絵のはなしを。

画材をアクリルから水彩に変えたことについてを、
さささーと、駆け足で綴ってみます。

以前はアクリル絵の具を使っていた

以前の記事で、2020年に画材を変えたことに触れました。

絵は独学とはいえ、2006年から2008年までは、セツ・モードセミナーという場所に通っており、そこでの授業は、鉛筆クロッキーと水彩画がメインでした。

絵を描く道具について、義務教育で教わる程度の知識しかなく、そして油絵の具が苦手だった私は、ある日友人から、アクリル絵の具の存在を教えてもらいました。

試しに使ってみると、水で溶かせるのに重ね塗りができることや、ハッキリとした発色が気に入り、はまってしまいました。
そして、それ以来アクリル絵の具やクレパスでの制作をはじめ、水彩絵の具を使わなくなりました。

振り返ると、当時したかった表現には、アクリル絵の具が合っていたと思う。
「アクリル絵の具を使った正しい絵の書き方」というものが存在するなら、私は未だにそれを知らないし、とにかく触って試して、楽しんだ。水彩についても然り。

ドイツでの学び

昔から、環境問題やエコな生活形態などに興味があったものの、
若い頃は、それ以外のことで毎日が精一杯で手をつけ始められず、歯痒い感じが常にありました。

出来ることといえば、
最低限のごみ分別、
使い捨てのものを極力買わない使わない、
プラスチックのものを買わない、
くらいのことで(プラスチックに関しては、当時は環境への配慮よりは、単純に好みに従っていただけの方が強い)、
それ以上は「知るべきことがたくさんある」ということだけをひしひしと感じながらも、学ぶ機会や、はじめるきっかけを作れずにいました。

2015年から2016年の1年間のドイツ生活で得たことも、私にとってはとても大きかった。
ごみの回収方法や、リサイクルの仕組み、消費者の意識感などなど、ほんの少しの間生活してみるだけで、本当に基本的なところから、日本との違いを感じざるを得ない環境だった。

それまで東京で暮らしていてずっと疑問だったことが、そこでは満場一致で “NO” と言われているし、環境のために昔からいろいろな工夫がされてきているのを、肌で感じることができた。
「だよね、そうだよね!」と思うことが本当に多く、そしてそれが当たり前にされていたり、とても新しく見えるアイディアが、ごく日常の光景になっていたり。

自分の国とは違うそんな世界を見て、衝撃だったし嬉しかったし、感動した。

もちろん、日本の方が好きなところも沢山ある。というか、その方が多い。
決して優劣の話などではなくて、国や人々が進む方向や速さの違いを見たという話であって、そして、純粋に驚いたという私の記憶。

だけど逆に、日本が「エコ後進国」と言われるわけが、恥ずかしいくらいに理解できたことも、事実なのでした。

ドイツSTOCKMARの水彩絵の具

2020年、外出が制限され、日々のほとんどの時間を自宅で過ごすようになった頃。

自然と私の中で、いろいろなことへの意識が、まるでオセロのコマをひっくり返すみたいに、くるくると変わって一方向に向かっていき、
流されるみたいにクリアになっていった。

なぜそんな変化が自分の中に起こったのかは、不思議だった。

でもたぶん、時間ができたことで、体力や心のキャパシティが、少し広がったのだと思う。

同じ24時間の中で、あっちへこっちへ、行って帰ってを繰り返す、
忙しい毎日を「こなす」ことから解放されて、時間ができた。
そして自然と、ずっと知りたかったことややってみたかったことなんかを、
「今、学ぼう、試してみよう」と思えたのかなと思う。

実際、その時期に購入したものがたくさんある。今も緩やかに続いているかも。
これは物欲というより、「試してみたい」「始めてみたい」という欲。

何年もインプットを溜め込んでいた分、アウトプットが激しめの、今日この頃。

そんな中でふと、アクリル絵の具のついた筆や筆洗を洗っていて「水を汚している」と感じたのが、画材を変えたきっかけでした。

「私がしたいことと、環境に悪くないことを、いいバランスで出来ないだろうか?」

今のところは、やっぱり色を使って絵の具のようなもので描きたい。
でもそれらは水に流さないといけないので、流しても害のないものでなければ意味がない。

以前にも「程よく取り入れて、程よく詰む」が丁度いいと書いたけれど、こういったことって突き詰め始めると、終わりがない。
突き詰め続けた先が、私が今したいことや幸せと違っていたら、意味がなくなってしまう。

植物なんかから絵の具を自作することも考えたけれど、絵を描き始めるまでに時間がかかりすぎて、今したいこととは違う…

そして出逢ったのが、ドイツSTOCKMAR社のみつろうクレヨンと、水彩絵の具でした。

駆け足で綴るつもりが長くなってきたので、続きはまだ次回

絵:「模範飛行」より一部 2020 紙に水彩