なぜ、絵を描くのか?

秘密基地

秘密基地

彼は子供の頃から、大の釣り好き、自転車好き。
そして私と共通なのは、気になる路地なんかにふらりと入って、冒険したくなるところ。

ある日「いい場所見つけた!」と、教えてくれたので、一緒に行ってみた。

普段通り過ぎる、入ったことのない路地を進むと、林の入り口が。
立て看板には、「この先 子供同士 立入禁止」。

なかなかの深い林の中を10分ほど進むと、出口が見えてきた。

林を抜けた先には、まるでビーチみたいな湖の岸辺が。

向こう岸はすぐ近いけれど、風で波もあり、本当に海みたい。
岸には、木やらいろんなものが打ち上げられている。

彼はさらにどんどん水際へ行き、すぐに持ってきた竿を湖に投げた。

彼が釣りをしている間、大抵私はスケッチをするのだけど、この日は周囲の情報量が多くてそちらに夢中になり、そこらじゅうをひたすら散策したり、景色を眺めたりした。

私が座っていた、巨大な流木。
地面は全体的に、ぬかるみ。

この場所まで水が来ることもあるのだろうけれど、最近は、湖水の量が少ないみたい。
向こう岸はよく陽が当たっているから、岸辺の状況も、全然違いそう。

こんなものが落ちていた。
コカ・コーラの缶に「お試し価格¥60」の文字。

全人類が知っているであろうコカ・コーラを、お試し…?

少しこわかったけど、裏返してみてびっくり。

賞味期限が、`93. 03. 29 …!

30年前からここにあって、水に沈んだり、打ち上げられたりを繰り返しているんだ…。

下の写真は、上から流れて来る水を飛ばす、謎の装置。
全部ごみで作られているみたいで、謎の迫力があった。

いい感じの流木や、色のいい石を集めて遊ぶ。

椿の大木。
葉のところが湖の中だったことがあるのか、折れた木の枝がたくさん絡まっている。

岸から見る林は、山の林とは違う、何かすごみがあって、吸い込まれそうだった。

私は地面や林を見ながら、彼は釣りのポイントを変えながら少しずつ進み、歩ける岸の終わりまできた。

夕暮れ近い光が山や水面を照らして、きれい。

そこから上へ登れる道があったので、またハイキングしながら帰った。

ハイキング客が来るような場所ではないので林はあまり管理されていないようで、野性っぽい迫力のある林道で、すごく楽しかった。

「またすぐ来よう」と話していたけど、この場所をなんと呼んだらいいかわからなかったので「秘密基地」と呼ぶことにした。