STOCKMAR 水彩絵の具
- 2021.03.08
- オーガニック 心 環境 絵 表現
- STOCKMAR, シュタイナー, ドイツ, 天然素材, 好きなもの, 学び, 水彩, 環境や心身に、わるくない暮らし, 私の場合, 絵, 自分と向き合う

前回のつづき
「絵を描く」という私のライフワークが、環境にわるいことではありたくない。
そう思った瞬間、雷に打たれたような気持ちだった。
「どうしてそこに、もっと早く気がつかなかったんだろう!!」
環境や心身に、なるべくわるくない暮らしをと、日頃から思っていたはずなのに、一番身近な画材については、10年以上前に使い始めたもので、時が止まっていたのです。
そして、そんな悲しみの気持ちと同時に、まだ次に何を使うかも決めていないのに、
なんだか不思議と、開放的な気持ちにもなった。
STOCKMARみつろうクレヨン
環境に悪くなく、色がつけられるもの。
私はまず、STOCKMARのみつろうクレヨンに出逢う。

私が好きになったポイント、それは
「おもちゃの基準よりもはるかに厳しい、食品規格に従って作られている」
というところ。
みつろうクレヨンは、今からおよそ100年前にドイツのシュタイナー学校の教師であった男性と、その兄弟の養蜂をしていた男性とで、
シュタイナーの美術の授業のために開発されたという背景があるそうなので、もともとは、子供が使う前提で作られているのだと思う。
おもちゃとしての安全だけでなく、子供が誤って食べてしまっても害がないくらいのものを作ってしまう、研究者の本気度が、もう本当にかっこいい。
turkのフライパン同様に、まず製品の背景に惚れた。
ところでSTOCKMAR社のウェブサイト、各ページが美しすぎる。
Imprintの中に描いた人のクレジットも載せてあった。
https://www.stockmar.de/en/
野菜やお米などで作られているクレヨンは、日本でも作られているし、私も気になっていました。
描き心地で画材を選んでいた頃に一度試してみたことがあるけれど、それまで使用していたクレヨンに比べて粘り気が少なく、その時の用途には合わず、制作に使うに至らなかった。
それに、原料となる野菜やお米がオーガニックでなかった場合、せっかく食べ物にこだわっていたとしても、クレヨンを握る手から体内にどんなものが入り込むか未知だし、
仮に絵やクレヨン自体が、最終的に土に還されたとして、私が土を汚すことにもなってしまう。
表現の仕方も変わってきているので、クレヨンの粘り気が弱くても今は問題なく、渋めの色合いや、油ではなく蜜蝋の香りがするところも、好き。
絵とは別に、オルタナティブ教育にもすごく興味があったので、STOCKMARを使うことでシュタイナーへの関心もさらに深まり、点と点が結ばれた感じでした。
STOCKMAR水彩絵の具
クレヨンが良かったので、絵の具もすぐに試した。
その頃すでに外出が制限されていた時期だったけれど、人があまりいない場所に、彼と車でキャンプや釣りに、しょっちゅう出かけていた。
私はそこに簡単な水彩画セットを持って行って、まずは絵の具と仲良くなるために、とにかく沢山描いてみた。

ゲーテの色彩環に基づいた6色。
(↑『色彩論』の内容についてのWikipediaの文章すごくおもしろかった)
心が満たされる道具
無限に好きな色を選べていた時に比べると、ものすごく色が限られる。
今までしてきた表現はもう出来ないし、独学で積み重ねたアイディアたちも、アクリル絵の具ありきのものに関しては、もう出来ない。
正直はじめは、少し不安でした。
でもこの6色を使って、混ぜ合わせて、絵の具の感触を覚えながら、描き方や表現をまた一から探ってゆくのが不思議と楽しく、
何より、描いていて、精神的に満たされる実感があった。
これが画材を変えて、一番よかったこと。
当時はそれが本当に不思議だなと思っていたけれど、今考えると、
便利な場所から、少し不便だけど、大切にしたいことを守りながら暮らせる場所に引っ越した感覚と、全く同じだな、と思う。
描くモチーフや色ではなく、画材の、しかもその素材や成り立ちによって、こんなに心に影響があるなんて。今まで知りませんでした。
画材を変えようと思った時の不思議な開放感も、そこから来ていたのだと思う。
そして、変えていくことで初めて「以前よりも満たされている」とか「心身が喜んでいる」と感じられるものを、私は絵の道具に限らず、生活の中にせっせと増やしているということに、気がついた。
オセロがひっくり返った後の私が求めていたのは、そういうものたちだったのでした。
絵:STOCKMARを使い始めた頃のスケッチ 2020 紙に水彩
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