新作の絵について
![新作の絵について](https://tsuzuru-ikedaayako.com/wp-content/uploads/2021/05/6E7EDDE4-CB15-4918-B995-C85C2E9A8F65-890x500.jpg)
グループ展開催中ということで、新作の水彩画について、備忘録も兼ねて。
これまでのようにぎゅうっとまとめた詩や、口下手な短い言葉よりも少し長い文章で、絵について言葉にする挑戦をしてみる。
2017- 「Listening carefully」シリーズ
展示している水彩画は、大小3点。
タイトルはそれぞれ、「to Good Sounds 01、02、03」。
ドイツより帰国後の2017年からしばらく制作した「Listening carefully」シリーズがあり、その続きとしてタイトルを付けた。
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作品やシリーズには、解説というか詩を添えることがあると以前にも書いたけれど、当時「Listening carefully」シリーズへは、この言葉を添えた。
If you feel something weird,
try to stop talking and just listen carefully.「もし何か変だと感じたら、話すのをやめて、耳を澄ましてみて。」
他人や世の中全体に対して、急に違和感を感じたり、
普段ならなんでもないことを、やけに気にしてしまったり、
なぜだか自分が、まるで自分でないように感じたり…。
「わたし近頃、何かおかしい」
ひとに悟られたくないから家に閉じこもったり、必死に、いつもと変わらないような振る舞いをしてみたり。
または、会う人々に対して自分の、不安や不満や違和感などを口にしたり。
そんな時「わたし」の身体は居場所が無いようでふわふわとして、表情も歪んで、まるで助けを求めているみたい。
ネガティブなことを考えたり口にしたりする度に、この「何かおかしい」感じは増してゆき、いつまで経ってもよくならない。
「わたし」は、どうしようもなくなり立ち止まって、話すこともやめた。
そうして静かになったおかげで、徐々に思考が明瞭になり、シンプルに考えられるようになってきた。
「何がおかしいのか?」
「なぜ自分は苦しんでいるのか?」
「本当は自分はどうしたいのか?」
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他人ではなく、自分自身に耳を傾けることで、単純でとても大事なことを思い出す。
「わたし」となった人物像を描いたのが、このシリーズなのでした。
「to Good Sounds」シリーズ
こんな風に「Listening carefully」シリーズは、ネガティブな現象から生まれたテーマだった。
耳を澄ませることで、そのネガティブなものを、手放す準備ができるかもしれない。
そして今となっては、それを手放す前も後も、幸せや不幸せと感じる時も、
本当は耳を澄まして、自分の心の声を聞こうとすることは、いつでも必要なことだと思う。
自分の心で鳴った「いい音」が、もしくは大切な人や自然から「いい音」が聴こえてきたら、今度はその音にも注意深く、耳を済まし続けていくのもいい。
新作の「to Good Sounds」シリーズには、そういうおもいを注ぎ入れ、「自然体」であることがテーマになった。
タイトルにも、「Good」というストレートな単語を入れてみた。
水彩絵の具で描く
以前に書いたように、オーガニック水彩絵の具を使い始めた頃に、とにかく描いて遊んで、絵の具と仲良くなる時期を設けた。
普段制作をする合間にも同じようなことをするのだけれど、このフェーズを経て私が得たものは、今の私の好きな水彩の描き方は「絵の具で描く」というより「水で描く」と言った方が、しっくりくるようなものだという気づきだった。
アクリル絵の具を使っていた頃は「紙に絵の具をのせる」描き方。
私の水彩は「紙の上の水に、色を混ぜる」。それがたのしい。
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![](https://tsuzuru-ikedaayako.com/wp-content/uploads/2021/05/D7BE7EE1-6678-4C7D-98D3-CC83935EEBCD-e1620631295243-850x1024.jpg)
紙質によってはこの水で描くやり方で描くと、水分が蒸発した後に紙の上に、色の輪じみのような水跡のようなものが残る。
水をたっぷり含ませてのせた色が、時間の経過とともに意図しない形を作っていくのが私は好きで、
「いびつだけどきれい」というか、「潔癖ではないけど完全」というか、そういうところが、植物や自然と似ているとも思う。
絵:「to Good Sounds 03」より一部 2021 紙に水彩
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