生理カップについて
前回のつづき
布ナプキンは、合わなかった。
市販の石油由来の使い捨てナプキンを使いたくないと思ってから、
まずはオーガニックの布ナプキンを試してみた。
洗って乾かす手間や、使用済みのものをバッグに入れて持ち帰らなければならない場合があるのが不便で、残念ながら当時の私の生活には不向きだった。
ぴったりした下着と併用しないとずれてしまうのも、締めつけがない下着が好きな私には不便。
使い続けることで体質改善したのか経血量が減って、もう手放せないという友人もいるので、これは本当に人ぞれぞれ。
そしてその後、生理カップと出逢う。
それはそれは、私にとって、最高の発明品だった。
※絶対安全だと思っていた生理カップも正しく使用しないと、前回の記事にも書いたLauren WasserさんのようにTSS(トキシック・ショック症候群)を発症する可能性が、タンポンだけでなく生理カップでも、0%ではないそう。詳細は後述。
生理カップのいいところ
私的、生理カップのいいところは、
- 経血が体外に出ないこと
- ごみが出なく、エコなこと
- 経済的なこと
- 生理のことを忘れられること(※注意あり)
経血が体外に出ない
月経カップ(げっけいカップ)とは、ナプキン、タンポンに替わる生理用品である。生理カップともいわれる。英語ではMenstrual cup(メンストラルカップ)と呼ばれる。ここ数十年で日本に月経カップも伝わっていっているが、主にアメリカ、イギリス、カナダなどの英語圏で製造・販売されている。鈴の形をしていて、タンポンと同じように膣の中に入れて使用する。天然ゴム(ラバー)などの天然樹脂や、医療用シリコーンなどの合成樹脂素材で作られる。そのほとんどが再利用可能で10年以上使用できる。
https://ja.wikipedia.org/wiki/月経カップ
生理カップは、経血が落ちてくるのを「体内で受け止める」ので、
従来の「経血を外に出して吸収させる」ナプキンとは違い、自分で出さない限り、外に経血が出ることがない。
体内で完結してくれることが、なんとなく衛生的だし、経血が酸化した時の、いやなにおいを感じなくてすむ。
ごみが出なく、エコ
1日に何枚も使い捨てして、その後リサイクルも出来ない従来のナプキンに比べて、
生理カップは洗って再利用するものなので、ごみにならないし、
1度購入すれば医療用シリコーンの性質上、半永久的に使えるらしい。
毎月、自分の経血がついたナプキンをごみ箱に捨てるのはストレスだし、
私としてはturkのフライパン同様、「半永久」という言葉が魅力的で、試す前からこの発明に、感動していた。
「発明」といっても、日本で売られるようになったのが近年なのであり、1950年代には、すでに普及が始まっていた国もあるらしく、驚き。
つくづく、海外で広まっている新しいテクノロジーや思想が、何十年も後に日本に伝わってくることって、多いんだなぁ。
話は違うけれど、ここ数年両親が外国人の方たちと触れ合う機会の多いのだけど、ある日母が
「大学生の女の子が、避妊のために腕のあたりに何か埋め込みたくて、病院を探してた!」と、話してくれたことがあった。
私も何のことかわからず驚いたけど、避妊インプラントのことだったのだと思う。
まだ日本で認められていないということを、その子はその後、知ることが出来たかな。
経済的
前述の通り、生理カップは1度購入すれば、半永久的に使えるらしい。
ひとつ数千円するので、ナプキンひとつと比べると、高いと感じるかもしれない。
でも、いくら経血量に個人差があるとはいえ、だいたい数ヶ月か1年ちょっとで元が取れてしまう。
仮に取り替え用にふたつ買っても、たった数年。
思春期から閉経までかかるコストとして考えたら、生理カップで一体いくら得するんだろう。
エコの観点では、何十年ものあいだ生理によって出るごみを、どれくらい減らせるんだろう。
生理のことを忘れられる(※注意あり)
生理カップの使い方にはコツがある。
はじめは練習が必要で、上手くいかなくてもがんばって繰り返し試していくと、膣内にきちんとはまっているかどうかや、スムーズに出来るやり方が、だんだん分かってくる。
すっぽり上手に収まると、ほとんど違和感がなく、限りなく普段通りに過ごせる。
ヨガのクラスに通っていた時も、易しいクラスなら全く問題なかった。
違和感がなさすぎて、入っていることを忘れて、そのまま寝てしまいそうになったこともある。
それくらい、快適なのです。
ただ、生理カップの連続使用が可能なのは「4-6時間」としているものが多い。
時間が経ったら、清潔な手でカップを取り出して、経血を捨てる必要がある。タンポンと同じです。
生理カップのデメリット・注意点
TSS(トキシック・ショック症候群)発症の、可能性と前例
冒頭にも書いた通り、生理カップであっても、正しく使用しないとTSS(トキシック・ショック症候群)を発症する可能性が0%ではなく、
実際にそれによって、両脚と手指の関節を切断した女性がいるそう。
https://courrier.jp/news/archives/190043/
私も「医療用シリコーン」で作られているのだから安全でしょうと思っていたし、説明書にもTSSに関する注意書き等はなかったので、女性のことを知ったときは、驚いた。
命にも関わることなので、上のリンクに書かれている注意点と、メーカーの使用法を守って、
清潔を保ちながら使わないといけない。
出し入れを手で行う
生理カップを使い始めて猛烈に感動していた時期に、友人や家族にも、勧めてみた。
一人の友人は「指で出し入れしなきゃいけないのはいや」と言っていた。
それに関して私はあまり抵抗がなかったので、彼女の意見を聞いてたしかにそういう人もいるよね、と納得した。
素手で扱うこと自体はじめは少しこわい気がするし、何より手が、血まみれになる…。
エコ感や快適さに気を取られていたけど、言われてみれば、これが生理カップの真実。
私は生理カップの存在を知った瞬間「見つけたー!」という感じだったけど、
もし使う前から、彼女のように心配や嫌悪感が勝っていたら、やめておいた方がいいかな、と思う。
価格について
長い目で見ればすぐに元を取れる金額とはいえ、前述のような心配がありながらも試してみたい、という人には、ハードルが高めかもしれない。
「トライアル」みたいなものがあれば良いけれど、生理カップに関しては、あらゆるものの中でも最もサブスクリプション出来ない類のものかと思うので、現実味がない。
「私には合わなかったから、あげる」というようなものでもないし…。
個人的には、思い切って使ってみて、もし上手くいかなくても練習を続けてみると、意外とだんだん仲良くなれるんじゃないかな、と思う。
失敗しないコツ
先ほど「膣内にきちんとはまっているかどうかや、スムーズに出来るやり方が、だんだん分かってくる」と書いたけれど、私もはじめは本当に苦戦した。
コツとしては、3点あって、
しっかりカップを持つこと
巷では、カップを入れる際の色々なフォームの提案がされているので、自分にあった形に折り曲げて入れる。
シリコーンは跳ね返す力が強いので、ぎゅっと、しっかり持って挑むのがいいと思う。
リラックスすること
緊張していると、力が入ったり息を止めてしまったりしがちだけど、はじめから終わりまで、
深呼吸しながら意識的にリラックスして「大丈夫」と思いながらすることが、
地味だけど、本当に大事。
構造を理解すること
よく見るとカップのふちの周りに、小さな空気穴がいくつか空いている。
空気穴から少し空気が入ることによって、中でカップがパカッと開いて、ぴったりフィットする。
うまくフィットしない時は、カップが密閉されてしまっている状態。
よくhow toで見るように「カップと膣壁の間をぐるりと指でなぞる」ことで、空気穴から空気が入って、うまくいく。
どうしてもできない時は一度取り出して、水やお湯で流し、
空気穴が詰まっていない状態にしてから、リラックスして再挑戦するとよいです。
取り出すときも、頭の中でカップの構造をイメージしながら、リラックスしてすれば、こわくない。
ちなみにカップ下部の「ステム」部分は、掴んで引っ張り出すためのものではないそうで、
実際はカップ本体の下のところをぎゅーとへこませて、カップにテンションをかけずに取り出すのが正しい。
ステムは、本体への目印のような役割だそう。
絵:ベコニアのスケッチより一部 2020 紙に水彩
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