なぜ、絵を描くのか?

今年の夏 -2021-

今年の夏 -2021-

今年の夏は、短かった。

テレビを見ない上に、人にもあまり会っていないので、一般的な事が分からないのだけれど、今年の夏は、驚くほど涼しくもあった。

これらは、都内で暮らしていた十数年間の体感との比較なので、自然の多い場所で、庭の芝生に守られて暮らし始めた恩恵なのか、それとも単純に冷夏だったのか、はたまたその両方か。よくわからないまま、夏が終わってゆく。

エアコンのない家

我が家には、エアコンがない。

厳密に言うと、一番熱のこもる彼の仕事部屋に、窓に取り付けるタイプの小さなクーラーが一台。

これは、環境への配慮とかではなく、引っ越し先を探していた時、物件情報の写真から、一階と二階に1台ずつは付いていると思っており、そのために内見の際にもあまり気にせず。

いざ契約となった時に、初めて知ったのだった。

浅草ほおづき祭りの風鈴

私はもともとエアコンが苦手で、一人暮らしの時は、本当に我慢できない時以外は使っていなかった。

そんな私と暮らし始めて、かつてエアコン必須だった彼も、いつしか身体が順応し始めており(彼はたいへんな順応体質だと思う)「エアコンがなくても大丈夫かどうか、やってみよう」ということになり、引っ越して始めての夏を、扇風機とシーリングファンだけで過ごしていた。

いざ試してみると、夜に暑くて寝苦しいと感じたのは、夏のはじめのほんの数日間だけで、今年は夏用のタオルケットの出番がほとんどないくらい。
むしろ多くの日は、綿入りの掛け布団でないと、夜中や明け方に、寒くて目が醒める。

昼間も、庭には煌々と陽光が降り注いでいるけれど、家の中の特に一階は、不思議と涼しい。

「エアコンなしで全然大丈夫だったね〜」と話しているうちに、私たちの体感的には、もう夏は終わってしまった。

夏の暑さって、10月くらいまで平気で続くんじゃなかったっけ…?

夏の遊び

まだ暑かった時期に、たくさん夏の遊びをしておいた。

Kくんがやって来た日以降にも、彼の気分は順調に釣りモードを継続。

私は、一緒に行ったり、行かなかったり。
行った時には絵を描いたり、描かなかったり。

snsを放置してしまいがちな私も、Instagramのストーリーズで釣りをした水辺の様子はアップしていて、友人からは「旅行?にしては頻繁だね」とか「どこにいるの」とか、中には「自分も自然と触れ合いたい」と、都心での苦しみを吐露してくる人も。

秘境2

Kくんと秘境へ行った翌週末。夫婦で再び、秘境2へ。

朝焼けがきれい。

例のごとく、前日に用意しておいたサンドイッチ。

自家製パンに、ジャムやピーナッツバター。それに、バナナとコーヒー。
毎日の朝食と同じでも、外で食べると味がちがう感じがする。

相変わらず、静か。夏休み中か、釣り人は少し多めだった。

カヌーを出し、行ったことのない方へ。

水面近くまで木が鬱蒼とした、ジャングルみたいなところへ入り込む。

彼の釣り的には、こういう場所はわくわくするようで、ごく間近に蝉の声がしてそわそわする私をよそに、夢中のご様子。

絵を描き進めてふと気がつくと、絵の具で濁った筆洗の水の色が、水面と完全に一致していた。

ご近所スポット

カヌーは出せないけれど、我が家からほど近い場所にも、釣りができそうな場所があるらしいとのことで、仕事終わりの夕方に、出かけてみた日。

意外にも釣り人は多いようで、平日の夕方ではあったけれど、入り口には車がいっぱい。

降りてみると、確かに釣りをしている人がたくさんいるけれど、整備されているわけではないようで「本当に入れるの?」と思うほど背の高い雑草を掻き分けて、水辺に向かうような場所も。

人の少ない場所へ移動すると、浅めで澄んだ水辺。

魚影はあったものの、こちらは釣れる気配が少ないらしい。

彼について歩いていて、私が目を奪われた大きな石。

ものすごく大きい上に、まわりを草が取り囲んで、まるで守られているみたい。
何やらただならぬ光景に、しばし立ち尽くす。

帰ろうと砂浜を戻っていると、動物の足跡を発見。

鹿か、それともイノシシ…?

Kくん再来

彼と同じく、Kくんも一度上がった「釣り熱」が冷めないようで、釣竿を背負って、再びやって来た。

この日は日帰りするそうなので、朝から始発で来てくれ、張り切って出発。

出発した時にはいいお天気だったのに、この時台風が近づいており、秘境2に到着して、ふたりが水へ入った瞬間、風と雨が…。

すぐに止むかもしれないと思ったけれど、さすがにここに居続けるのは危険かもしれない、ということで、残念ながら滞在時間、数分間。

祈りながら家の方へ向かうと、先ほどの「ご近所スポット」に着く頃には、晴れ間が。

時々霧雨は降るけれど、風が止んだので降りて、軽く釣りすることに。

雨のせいか、前回来た時と水の様子が全然違い、この日はミルキーなグリーンでとてもきれい。

一度ざっと降った時は、雨粒がキラキラして、水面も輝いて、すごく神秘的だった。

この日は、夢中で水面ばかり描いていた。

ダブルレインボー

これは、また別の日。

雨が続き鬱々としていた日々に、パッと晴れたので、すかさず窓の外を見る。

思った通り、虹が出ていた。こんなに鮮やかに。

しかも、写真を撮った後に気がついたけれど、うっすらとダブルレインボー!
日本でダブルレインボーを見たのは、一体何年ぶりだろう。

もっと大きく撮ろうと二階へ上がったら、太陽が隠れたのか、消えてしまっていた。本当に一瞬の虹だったみたい。

天気雨が降ると、虹を見るために太陽と反対側の空を見上げる、子供の頃からのくせが、雨続きだった夏に、嬉しい瞬間をくれた。